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WO!013|Adobe Digital Marketing Summit 2012 体験レポート

Adobe Systemsが主催するデジタルマーケティングイベント「Adobe Digital Marketing Summit 2012」が、2012年3月20日~23日の4日間にわたり、アメリカのソルトレイクシティで開催されました。

当社からも1名が参加し、デジタルマーケティングの最新の潮流を肌で感じてきました。今回はその中から、いくつか気になったテーマに関して、所感をまとめてみます。

※本稿は、実際の聴講内容を整理したうえで、一部独自の解釈を加えていますので、内容の正確性に関して保証するものではありません。
※Adobe社の製品に詳しくない方でもご理解いただけるように、あえて製品名などは割愛しているところがあります。

Adobe Digital Marketing Summitとは?

世界最大規模のデジタルマーケティングイベント

世界各国から4,000人ものマーケッターが集う世界最大規模のデジタルマーケティングイベントで、「Adobe Digital Marketing Summit」という名称では今回が2回目の開催になります。
(今年は、日本から70名ほどが参加しました)
開催場所は、ソルトレイクシティ空港から、バスで10分ほどのところにある「Salt Palace Convention Center」(写真:右)。

Adobeの新製品発表+分科会

本イベントは、Adobe新製品の発表が主眼となっている印象で、最初と最後に開かれたキーノートセッションでは、Adobe首脳陣や開発責任者による大々的な製品プレゼンテーションが行われました。

キーノートセッションで講演するブラッド・レンチャー氏

それに加えて、幅広いテーマを扱った80ほどの分科会(個別セッションやパネルディスカッションなど)も開催され、会場全体が熱気に包まれていました。

分科会では、AdobeのクライアントとAdobeの社員(コンサルタント)の両者が登壇にあがり、Adobe製品導入の背景、プロセス、成果などを一緒に発表するような形式がとられており、クライアントがAdobeの製品を絶賛している姿が印象的でした。

デジタル・セルフ

デジタル・セルフとは「デジタル世界における自己像」

キーノートセッションでは、しきりに「デジタル・セルフ」という言葉が用いられていました。
「デジタル・セルフ」とはインターネット上での行動によって形成される「デジタル世界における自己像」です。
たとえば、Amazonでよく買い物をする人であれば、過去の購買履歴や閲覧履歴を分析することで、その人の「デジタル・セルフ」としての購買特性がわかるでしょう。
他にも、
LinkedIn=ビジネス上のつながり
Facebook=日常の出来事、友人関係
StumbleUpon=趣味・嗜好
Yelp=好きなレストランや料理のジャンル
Pinterest=好きな写真
Garmin=好きな音楽
(アメリカのWebサイトを中心に抜粋)
…など、すべてをつなぎ合わせて分析してみれば、その人の「デジタル・セルフ」は、かなり鮮明に描けてしまえそうです。

ブラッド・レンチャー氏のデジタル・セルフ

ブラッド・レンチャー氏のデジタルセルフ

さらに言えば、
●スマートフォンなどの普及で、人々の日常活動のいたる所にインターネットが入り込んでいること
●実社会とインターネット社会をリンクさせることへの抵抗感が薄れていること
(日本でもFacebookなどでの実名登録が受け入れられていること)
…といった点を鑑みると、もはや「デジタル・セルフ」と「現実世界の自分」は、そこまで差異がない状態とも言えるかもしれません。

企業(売り手)の視点からすれば、この「デジタル・セルフ」を知ることで、よりその人にあった個別のアプローチが可能になりますので、いかに「デジタル・セルフ」を把握できるか?がデジタルマーケティングの重要課題になると言えそうです。

デジタル・セルフを把握する

Adobeの製品では、自社サイトのアクセスログはもちろん、ソーシャルメディア上のデータを掛け合わせて、より細かくセグメントをかけることができます(例えば、年齢、性別、住所、ある商品の「いいね!」を押した人、など)。
さらに、Adobe社は、2011年1月にDemdex社を買収したことで、膨大なユーザーのオンライン行動データを手に入れているので、一人ひとりの「デジタル・セルフ」の判別とまではいかなくても、かなり細かなセグメント設定が可能なものと推測できます。

パーソナライズ実践型CMS

狙うべきデジタル・セルフ(のセグメント)を把握できても、そこから個別のアプローチができなければ意味がありません。今回、Adobe社が発表した「Adobe CQ」というCMS(コンテンツマネジメントシステム)は、設定したセグメントに対するコンテンツ出し分けを、簡単な操作で設定できるツールです。

システムの裏側では、Adobeが提供する各種分析ツールと連動しているようで、狙いたいセグメントと、訴求したいコンテンツを選ぶだけで、簡単にコンテンツ出し分け設定ができるように工夫されています。

Adobe CQでのセグメント設定

Adobe CQでのセグメント設定

一部、推測も含まれますが、上記「Adobe CQ」の管理画面の左メニューでは、
A)ソーシャルメディア上でのデジタル・セルフ(個人)を設定
※その下には、ソーシャルグラフ(友人関係にあるユーザー)が表示される
B)ユーザーの閲覧環境の設定(OS、ブラウザ、デバイス)
C)地理的情報を設定
D)おそらく、あらかじめ設定しておいた各種セグメントを設定
(「大学の学生」「新車の買物客」などが画面からは読み解けます)
などのセグメント設定ができるようです。

Adobe CQのコンテンツ設定

Adobe CQのコンテンツ設定

また、上記画面のE)F)にあるように、Webページのコンポーネント(部品)も呼び出すことができ、その中から訴求したい要素をドラッグ&ドロップするだけで、セグメントに対するコンテンツ出し分け設定が完了します。

※ちなみに、「Adobe CQ」は、Adobe社が2010年7月に買収したDaySoftware社のソフトウェアがベースとなっていると考えられますが、データ分析とコンテンツ管理がシームレスに繋がっているという点で、今までのCMSとは一線を画している感を受けました。

予測マーケティング

今までのWebサイト分析は「過去」を対象とし、そこからどう改善するか?を考えてきましたが、大量の過去データを分析することで、「未来」を予測分析しながら施策の最適化を図ろう、というのが「予測マーケティング」です。

デモンストレーションでは、プロモーション広告の予算配分(ディスプレイ広告orリスティング広告orソーシャル広告)を変えることで、見込み収益がどう変わるのか?をシミュレーションしていました。

予測マーケティングのデモ

予測マーケティングのデモ

予測できることは、マーケッターにとってありがたい反面、
●ロジックが不透明なので、どこまで信じていいのか?
●新しい施策の実行や、新しい仮説の検証にも有効なのか?
●マーケッター自身が、自動予測に頼りがちにならないか?
などの課題もありそうです。
人間(マーケッター)の直感や仮説と、どうバランスをとりながら意思決定していくのか?舵取りが難しい印象も受けました。

※この機能は、リスティング自動入札ツールなどを強みとしていたEfficient Frontier社をAdobeが買収し、
その予測エンジンが基になっていると考えられます。

ワークフローの統合化

「Adobe」と聞くと、イラストレーターやフォトショップなど、グラフィック系のソフトをまずイメージする人も多いと思いかもしれません。

しかしながら、前述のとおり、今やAdobe社は、オンライン施策における
1)グラフィックデザインやWeb制作などのコンテンツ制作
‥だけではなく、
2)データ分析(ログ分析、予測分析など)
3)データを基にしたコンテンツ最適化
‥に至るまで、そのすべてを提供できる企業となりました。

つまり、企業内におけるデジタルマーケティングのプラットフォーム(基盤)を、提供できるようになったのです。

デモンストレーションでは、とあるキャンペーンサイトを題材にし、データ予測~コンテンツ(グラフィック)変更までがAdobe製品上でシームレスに行えることを発表していました。

ダッシュボード

↑社内スタッフは、iPad上でダッシュボード(各プロジェクトの状況)が確認できる

 

ダッシュボード

↑ダッシュボードでは、各プロジェクトの効果も確認できる

 

↑グラフで広告予算の割り振りや予算を変更すると(青枠)、今後の収益予測が表示される(赤枠)

 

↑予測を受けて、iPad上でデザイナーにグラフィック修正指示を出すことも可能

 

↑デザイナーは自分のダッシュボードから、修正指示があることを知ることができる

 

↑そのままデザイナーは、フォトショップ(クラウド版)で修正を施せる

アトリビューション分析

ユーザーが検索エンジンから直接ECサイトに流入して商品を購入した場合であっても、そのユーザーが過去に、商品の広告やソーシャルメディア上での口コミに触れていれば、それらは購入に何らかの寄与をしていると考えられます。
「アトリビューション」とは、そのような「間接作用」も含めて、広告の効果を測定しながら全体を最適化していこうという考え方であり、最近注目されています。
Adobe社の製品(Discover3)では、アトリビューション分析に役立つ、サイト内外のユーザーの動きをグラフィカルに表示してくれる機能を有しています。

円柱はチャネル(サイト、メール、ソーシャルメディア、広告)を意味し、太さがユーザー数、高さがページビューをあらわしています。チャネルをつなぐ線は、ユーザーの流れを示しています。
これにより、どのくらいのユーザーが、どのチャネルを経由してサイトに来訪し購入しているか? 全体を俯瞰視することができます。

セグメントをかけることも可能で、例えば上記では、性別でセグメントをかけ(左:女性、右:男性)、1画面上で比較しやすいように表示しています。

Posted by THINKJAM.

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