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WO!006|ECサイトにおける「サイト内検索」をユーザー視点で考えてみました

ECサイトにおけるサイト内検索で、商品を探す場合、どんな機能が必要でしょうか?
ユーザー視点から、サイト内検索に最低限必要であろう機能を抽出するためのフレームワークをつくり、それに沿ったかたちで、いくつかのECサイトの取り組みについて調査してみました。


サイト内検索に必要な機能とは?

ECサイトにおけるサイト内検索の第一の目的は、ユーザーの求める商品へスムースに誘導すること。そのために必要な機能とはどんなものがあるでしょう?今回はまず「ユーザーの検索ニーズ」と「ユーザーの状態(どんな情報を持っているか)」を考え、必要となる機能の抽出を試みます。

図1:ユーザーの 検索ニーズ

ユーザーのサイト内検索ニーズ

サイト内検索を使用するニーズとしては、大きく2つに分類できます(図1)。1つは、すでに店頭や商品カタログ、Webサイトや口コミなどで購入する商品が決まっているのであれば、その商品に早くたどり着きたいというニーズです。

この場合、商品名やスペック情報、あるいは申込番号などを直接検索フォームに入力して、その商品がヒットすることをユーザーは期待するでしょう。このような検索スタイルを「ピンポイント検索」とします。

もう1つは、商品のカテゴリーは決まっているが、まだ1商品には絞り込めていないので、比較検討しながら、購入する商品を決めたいというニーズです。例えば、シャツを探している場合に、サイズや価格、デザインなど‥条件をいろいろ変更しながら、比較検討していくといった検索をします。ここでは、この検索スタイルを「トライアル検索」と定義します。

これ以外にも、商品カテゴリーも決まっていない状態で、サイト内検索を利用し、「何かいい商品ないかな」と期待する検索(というよりも“散策”に近い)ニーズもありますが、これは能動的に探している行動ではなく、受動的に提案を受けたいというニーズになるので、今回は省略し、レコメンドの議論の際に考えましょう。

サイト内検索をするユーザーの状態

検索機能を考える場合、サイト内の検索ニーズに加え、ユーザーの状態も重要になります。これは、「ユーザーがどんな情報をもっているのか」を明確にすることに他なりません。なぜならユーザーがどのような情報を使って検索するかに応じて、サイト内検索側での適切な対応方法が変わるからです。

ユーザーが持っている情報は、「量」「質」「種類」の3軸で整理できます(図2)。ここで「質」が意味していることは、言葉の正確性ではなく、システム側(DBやインデックス情報)で用意しているものと照らし合わせて、それに一致するか否か?という判断基準です。

図2:ユーザーは検索するときに、どんな情報をもっているのか (ユーザーの保有情報)

必要なサイト内検索機能は?

これまでサイト内検索の2つのニーズ「ピンポイント検索したい」「トライアル検索したい」と、「ユーザーの状態(=ユーザーが検索に使える保有情報)」を簡単にご紹介しました。最初に書きましたように、これらをかけ合わせてみることで、サイト内検索に求められる機能が抽出できます(図3)。なお、検索するときの情報の種類としてはイメージよりもワードが一般的なので、ここではワードで検索することをベースにまとめています。

図3:サイト内検索に求められる機能 (情報の種類がワードの場合)

「ピンポイント検索」と「トライアル検索」の場合を比較すると、重複する機能もありますが、特にトライアル検索での「量:少ない」×「質:正確」の場合はユーザーに多くの情報や選択肢を提示する機能が必要であることから、ピンポイント検索にはない機能が多いことがわかります。 これは、まだ商品が絞りきれていないユーザーに対して、ニーズに合うであろう商品を紹介する、いわばコンシェルジュ的な役割を担っている機能といえるでしょう。

使える!参考事例

ここからは、ECサイト売り上げランキング(月間ビジネスチャンス2009年5月号に掲載)を参考に、化粧品やアパレル・ファッション業界、家電のECサイト(約30サイト)を中心に調査して集めた事例を一部ご紹介しましょう。図3で赤字になっている機能になります。

詳細検索(事例1) <OIOI Web Channelの事例>

目的の商品について、ユーザーが多くの情報を持っていて、それらが正確(=システム側が用意している範囲)であれば、一気にその商品まで辿りつけることが理想的です。
マルイでは「組み合わせ検索」というページの中で、複数の細かな条件を段階的に選択させることで、絞り込んだ検索結果をユーザーに提供しています。
このページのよいところは、リッチなインタフェースで感覚的に入力しやすいという点に加え、現在設定している条件で何件ヒットしているのかを、都度確認できるところにあります。
つまり、検索結果ページに遷移してはじめて「0件ヒット」であることが判明する、というケースを未然に防ぐことができます。

図4:OIOI Web Channelの「組み合わせ検索」ページ

関連Webページ表示(事例2) < ファンケルオンラインの事例>

図5:ファンケルオンラインの検索結果ページ

ある商品カテゴリー(例:サプリメント)の中から、購入する1商品を決める場合、商品DBに格納されているようなスペック情報(例:成分など)だけでは判断しきれないこともあるでしょう。
ファンケルでは、検索キーワードに合致する商品だけでなく、コミュニティサイトや商品の口コミ情報(レビュー)、Q&Aページといった商品に関連するWebページも一緒に検索結果として表示しています。
そうすることで、ユーザーは商品を決定する際に必要な判断情報も一緒に取得することができるので、意思決定を促す効果が期待できるのです。
また、企業視点にはなりますが、商品特集やキャンペーンで制作したWebページを、検索結果に表示させて露出を高めるなど、販促手段としても活用することもできそうです。

キーワード候補の自動表示(事例3) <ニッセンの事例>

「キーワード候補の自動表示」という機能は、検索窓に検索キーワードを1つ入力すると“アンド検索キーワード候補”を自動的に表示してくれるものです。
Googleなどの検索エンジンでも提供している機能なので、使い慣れている方も多いと思います。
ニッセンでは、検索窓にキーワードが入力されると、それが含まれているカテゴリー構造ごと検索候補として表示されます。
こうすることで、入力したキーワードを基準に上層カテゴリーや下層ページを見ることができる(=サイト内を俯瞰できる)ため、絞り込みを促進させるだけでなく、新しい気づきを得るきっかけも作ることができるでしょう。
また、商品特集ページへの誘導を強化する手段としても使えるかもしれません。

図6:ニッセン オンラインショップの検索結果ページ

0件ヒット対応 (事例4) <ヨドバシ.comの事例>

「どんなに検索しても欲しい商品が見つからない」というケースは、大きく2つに分類できると考えられます。
1つは、そもそも目的の商品をECサイトが取り揃えていない場合。もう1つは、商品はあるが、ユーザーの検索の仕方に問題がある場合です。
前者のケースへの対応策としては、ヨドバシ.comが好事例です。
ヨドバシ.comでは0件ヒットのページから、商品リクエストフォームへ誘導し、どんな商品を探しているのかをユーザーに聞き、その商品を探して追加してくれるという取り組みをしています。
ヒット0件をそのまま見過ごすのではなく、これを潜在ニーズと捉え、それに応えるしくみをうまく構築していると言えます。

0件ヒット対応 (事例5) <OIOI Web Channelの事例>

ユーザーの検索の仕方に問題があって、0件ヒットとなってしまうケースでは、ユーザーに正しい(システム側と合致させやすい)検索キーワードの入力方法をアドバイスする必要があります。
マルイでは、0件ヒットのページに、検索キーワードの改善例を具体的に掲載したうえで、再検索を促しています。
 「助詞“の”を使わずにスペースで区切って入力してください」や「キーワードの数を減らして入力してください」‥など一般的な内容ですが、検索リテラシーの低いユーザーの存在は無視できません。

図8:OIOI Web Channelの検索結果ページ (0件の場合)

イメージ(カラー)で絞り込み <セシールの事例>

図9:セシール オンラインショップの検索結果ページ

最後に、キーワードだけでなく、「選択可能なイメージ」で検索できる機能を実装しているサイトもご紹介しましょう。
セシールでは、「カラー」も検索条件の1つとして指定することができます。今回調査したECサイトの中で言えば、アパレル商品を扱っているところには、カラー選択機能を設けているところが多数見受けられました。もちろんカラー以外にも、「柄」や「商品の形状」‥なども有効な検索条件になり得ますし、「価格」というものも“高級イメージ”“普及イメージ”というイメージで検索していただくことも可能です。
うまくキーワードを入力できないユーザーは、企業担当者さまが思う以上に存在するはずです。そんな時、ワードだけに頼るのでなくイメージ検索という代替手段を用意してあげることは、取り扱う商材によっては、離脱を防止し、回遊率を高める有効な手段になるでしょう。

サイト内検索のレコメンド化

一般的に「サイト内検索」の目的は“ユーザーの求める商品情報”を提供し、「レコメンド」は“企業がユーザーに買わせたい商品情報”を提供することと考えられており、2つは別のものとして扱われることも多いようです。
しかし、商品を探しているユーザーからのインプット(キーワード入力やクリック)に対し、それに応じたアウトプット(商品情報など)を提供するという点をみれば、お客さまの顕在ニーズに応えるのが「サイト内検索」であり、お客さまの潜在ニーズに応えるのが「レコメンド」という言い方もできるはずです。
2つの機能とも、ユーザーニーズに応えるものだとすれば、サイト内検索も、パーソナライズ化がどんどん進むレコメンドのように、履歴をベースにした学習機能を搭載する方法もあるはずです。
たとえば、最近あるメーカーのプリンタを買ったユーザーが「プリンタ インク」と検索したら、そのプリンタ本体に対応するインクカートリッジ上位表示させたり、ハイスペックを好む傾向があるユーザーには、高機能商品を優先的に表示させる、といった取り組みです。
現在のサイト内検索は、ユーザーを一律に扱い、いかにその時に入力されたキーワードにマッチする情報を出すかという考えから抜け出せてないかもしれません。
サイト内検索も、レコメンドと同様に、ユーザーの行動履歴に応じて検索結果を変えるといった一人ひとりのユーザーに対して最適なコンテンツを提供していくという視点が、ますます求められてくるでしょう。

Posted by THINKJAM.

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