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WO!008|日本ダイレクトマーケティング学会全国発表大会に行ってきました

2010年7月3日(土)に早稲田大学にて、日本ダイレクトマーケティング学会の全国大会がありました。
各セッション内容は、社会人の修士論文なども多く、特に画期的なものはありませんでしたが、ちょっと違う視点で論じられたものを2つほど取り上げてみたいと思います。

ランキング情報の購買への影響を調べる

架空の化粧品による調査

イメージ画像(amazonのヘルス&ビューティランキング)

早稲田大学の大学院の博士課程で学ばれている五十嵐さんという方の研究「ダイレクトマーケティングにおけるランキング情報の影響」。ひとことで言えば、ネット販売で販売実績ランキングが、顧客の購買行動に影響を与えているだろうか?というものです。
今回は「マリアンヌ・ナチュラルウォーター(100ミリリットルで2,100円)」という架空の化粧品がECサイトに表示されている画像を以下、3パターン用意。
1)販売実績ランキングが1位
2)販売実績ランキングが27位3)販売実績ランキング無し
それぞれを被験者103名ずつに見てもらい、購入意向などに変化が現れるか?という調査をしました(実査はマクロミル社)。
その結果‥
→販売実績ランキングが上位ほど購入意向度合いは強まる傾向があるようだ
→販売実績ランキングが上位ほどブランド評価は高まる傾向があるようだ
‥ということがわかりました。

しかし、実際に商品をみて購入できないことに対するリスク(商品のデザインや機能が想定どおりかどうか?商品の価格が価値に対して適正か?)を払拭できるか、という点でみると‥
→パフォーマンス知覚リスクは、変化しない
→金銭的知覚リスクも変化なし
‥という結果で、販売実績が上位だからといっても、その商品のデザインや機能性、価格を盲目的に信じるということはないという報告がされました。

珍しい調査として、今後に期待

しかし、実験画像がamazonのサイトに酷似していたことによるバイアス、何をもって上位・下位とするか?(=どうして27位にしたのか)という論拠、さらにこれは基礎化粧品のケースであり、他の商品はどうなのかという点、訪問先のサイトの親しみやブランド力などにも左右されるだろう‥といった課題の残る調査報告となりました。
確かに、他にも実際に購入態度を決める要因があるとはいえ、ランキングというところに注目した調査は、あまり目にすることがないため、一概に“使えない”調査でもなさそうです。多くの商材を扱っているEC企業などは、商品ごとにこういった切り口で調査をしていくのも、新たな改善策をみつけられるかもしれません。

ネットユーザーの行動を徹底的に分析する

これまでにない調査母数

もうひとつ、「ユーザー行動データ分析を基にした画期的マーケティング手法」というオプト社の発表にも注目です。オプト社は、すでにこの調査をいろいろな企業に対して営業されているようですので、ご存知の方も多いかと思います。仕組みとしては、インターネットユーザーの行動情報をできるだけ多く集めて、その人たちがどんなサイトにどのくらいの頻度で訪問しているのか?を基にユーザをクラスタ分類(クラスタの詳細は次ページ表1を参照)。そして、クラスタ別のアクセス状況をベースに、企業のネット戦略における改善ポイントなどを提示するというものです。

類似サービスでは‥
●ブランドデータバンク
(ブランドデータバンク社)
●ライフスタイルインディケーター(リンク&モチベーション社)※開発ODS社(現在解散)
といったものが思い当たりますがオプト社のユニークさは、その圧倒的な調査母数と個々人の行動(Webサイトへのアクセス情報)が読めることにあります。

圧倒的母数は、3つのメディア(メディア名は非公開)からダウンロードできるツールバーの利用者で担保されています。
そのメディアを何度も訪問したいと思っているユーザーが、無料で提供されるツールバーを“行動履歴を取られることは許諾して”ダウンロードする。メディア側も、そういったツールを設けることで、PV数を稼げる―という思惑から、このビジネスモデルは成り立っているようです。
メディア名も含めて、詳細については非公開ですが、アクティブユーザーが15~20万人(毎月3億~4億PVのデータ)、ECサイトのデータもとれるというと、かなり大きなメディアであることは想像がつくでしょう。
なお、母数は、通常のネットユーザー(ネットレイティングス社のデータ)と比較してみても、どちらかといえば主婦、20~40代、Yahoo!の利用者が多いというくらい。基本的には、一般的なネットユーザーと同等と見てよいと述べられていました。

トラフィックを「ストーキング」する

この母数に対して、調査できることは‥
・アクセス日時
・アクセスしたサイトのドメイン、ページタイトル
・サイトの滞在時間
・検索キーワード
・サイト内(ショップ)における、検索キーワード
・離脱箇所
‥などになります。
このような調査データを利用することで、自社のブランド名で検索した人が、どのようなサイトに行って、どんなページをみたか?その後どこに行ったか?などがわかります。例えば、自動車のブランドで検索した人は、「オークション」「SNS」「ニュース」「専門家による情報サイト」「中古車サイト」「メーカーサイト」「ブログ」‥などなど、多くのサイトにアクセスしているわけですが、その細かなトラフィックをすべてレコードしておき、分析に活かせるわけです。

例えば自動車ブランドの検索を追う

例として挙がっていた「メルセデスベンツ」「アウディ」「レクサス」(その複合ワードや入力ミスワードも含めて)で検索した人を分析してみると、調査期間中平均4.7回それらのワードで検索しており、それぞれの割合は、順に29%、27%、44%でした。
検索後、どのページに行ったか?を調べると、実は「再検索」が35%と最も多く、車サイトは30%、ポータル3%、ブログ1%、オークション1%、口コミ2%‥といったことがわかります(再検索率は平均30%と言われています)。
ちなみに、再検索したサイトをみてみるとYahoo!が31%、Googleは25%、bingは46%で、Googleは他社よりも顧客ニーズにあったサイトを提示しているということがいえます。
では、メーカーサイトにくる割合は?‥というところを見ると、メルセデスへは3.6%、アウディへは9.1%、レクサスへは8.5%となっており、アウディが他社に比べればリーチできてるといえます。
一方で、「レクサス」と検索してどこかのブログにアクセスした人が、その記事をみて態度変容し、アウディのサイトに行ったということもわかります。レピュテーションなどを気にされる企業は、こういった口コミの態度変容などにも使えそうです。

使いこなすための設計力が重要

表1:ユーザーのクラスタ分類と存在率

オプト社はこれらのデータを1年間かけて分析し、ユーザーをクラスタしたとのことです。クラスタとその割合は、表に記載しましたが、自社のブランドで検索する人は、どんなクラスタに多いか?どんなクラスタには少ないか?他社はどうか?などを分析することで、新たなネット戦略の基礎データとしても使えるかもしれません。
ただデータは工夫次第でいろいろ出せますが、やはりしっかりした調査設計とどのように使うのか?といった明確な戦略的視点が必要になってくるでしょう。

Posted by THINKJAM.

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